中華料理ブームを引き起こした火付け役と言っても過言ではない「北京ダック」。
アヒル肉をオーブンでカリカリになるまで焼きあげて、甘しょっぱく味付けしたのち、表面の皮を頂く贅沢な1品です。
でもなんで皮だけ食べる文化があるのか?疑問に思ったことはないでしょうか。
まず北京ダックのルーツをさかのぼっていきましょう。
北京ダックの発祥は1368年の中国南京です。
南京ではアヒルを使用した料理が盛んで、この時代この土地でアヒルをローストして作る北京ダックが誕生しました。
北京と名付けられたのは、当時の皇帝が都を南京から北京に移した時、お気に入りのアヒル料理も持ち込んだ為と言われています。
前置きが長くなりましたが、ここからが本題です。
北京ダックを扱う某有名中華料理店の店主に直接インタビューしたところ、「そもそも北京ダックは皮を含めてアヒルを丸ごと食す料理」という回答が得られました。
ときは1300年代の明の時代、アヒル料理は超高級料理に値するものです。
ただでさえ高価な動物の肉を、皮だけしか食べないなんてどう考えても狂っています。
現代人は狂っているのかもしれません。
話がそれましたが、肉を残すようになったのは誰でも気軽に海外旅行を楽しめるようになった近年のことです。
日本人観光客が北京を訪れた際、北京ダックの皮が大変人気となり、経営者たちがお金を沢山落としてくれる日本人向けに「パリパリのアヒル皮を食べる中国の珍味」として売り出すようになったのです。
いずれにしても少人数で中国に訪れる日本人観光客は、北京ダック(肉を含む)を丸ごと食べてはくれず、結局残して他の料理を注文する傾向がありました。
皮は絶品だけど、中の肉は美味しくないから捨てている。
と勘違いしている方も多いかもしれませんが、実際アヒル肉はプリプリとした食感がクセになるくらい美味しい食材です。
ただ、丸ごと1匹食べるとなると、やや脂っこさが気になり少人数となると完食するのは胃袋と相談しなければなりません。
また他の理由では、経済が豊かになった証拠だと言えるでしょう。
食べ物を残すことに何の罪悪感もなく、美味しいところだけつまみ食いする人は、先進国において珍しくありません。
「一生に行くか行かないか分からない北京旅行だから、せっかくなら色々な物をたべてみたよね♪」
このように思うことは一般的でしょう。
この2つの理由から、北京ダックはいつしか皮しか食べられないようになったのです。
ちなみに全部捨てるのはさすがにもったいないということで、中華料理店では主に残った肉はまかない料理に使用している所が多いようです。
「アヒル肉の皮しか食べないなんて…中国人はなんて贅沢な民族だ!」
なんて思っていたら、蓋を開けてみると…事実そんな状況を作りあげたのは、経済大国の日本だったのかもしれません。
仰る通り、大陸の中では広東・香港のように、鴨肉のチャーハンは私が初めて行った25年前からあったし、美味しい鴨肉が下肉として扱われた実績もない。
一匹、半匹分と選べる北京ダックの中で肉や内臓を食べたり、ガラ(鴨ガラ?)スープを楽しまずに大陸観光した気分になっているのは、陳●●さんあたりの日式中華に毒された死に絶えつつある世代の日本人を中心に多いのではないでしょうか。
私も北京に6年滞在し、訪問歴だけで言えば足掛け14年になりますが、そうした実感で言えば、書かれていることは道理だと思いますよ。
これからも真実の発信をお願いします。